最近はセルフビルド住宅がメディアなどでも取り上げられ注目されています。
しかし、全ての工事を素人が一から行うとすれば、それはかなりの困難を伴うものとなります。
この場合、大事なところはプロに任せて、素人でも施工出来そうな所はできるだけ自分達でやってみるような参加型の「セミセルフビルド」が時間的にも費用的にも効率がいいような気がします。
セミセルフビルドの中で取り組みやすいもののひとつに外壁の塗装があります。
APOLLO LABでは外壁に天然の木材を多く使用しています。
その外壁塗装には通常、オイルステインを使用します。
オイルステインは塗ると言うよりは、浸透させると言った方がいいかも知れません。
オイルが木の表面だけでなく内部にまで浸透していくので、雨などにさらされても木の内部まで水分が侵入することを防いでくれます。
浸透しているので、ペンキのように剥げることも無く耐久性にもとても優れています。
刷毛で塗っていくだけなので素人でも簡単に行える作業です。
しかし、やはり家一軒分となるとその表面積はかなりの作業量になるので休日返上で根気強く塗り続ける必要があります。
外壁の材料(胴縁)にセルフで塗装をしているところです。
お施主様の友人、知人など大勢の助っ人が駆けつけてくれています。
一人ではとても時間がかかる作業なので、応援はとても心強くありがたい存在です。
そして、何よりも皆さんワイワイとても楽しそうに作業をされています。
こういった所もセルフビルドの魅力のひとつですね。
この材料にはオイルステインではなく、「ウッドロング・エコ」という天然成分のみで作られた腐朽菌が発生しにくい木材保護剤を使用しています。
紫外線や雨をなどの湿潤を繰り返すことによって木材に浸透していく材料なので、時間が経つほどに効果が発揮されます。
そして、だんだんと表面の色も濃くなり、自然な枯れた茶色に近づいていきます。
この現場では外壁を張る作業も全てセルフで行われました。
写っている方は皆さん助っ人(素人)の方です。
とても頼もしい存在です。
しかし、外壁の表面積がとても広い家なので張り終えるには一苦労です。
微力ながら、私も助っ人の一人として何回か参加させて頂きました。
メインの大壁が張り終えたところです。
この色もだんだんと濃くなっていい色になっていきます。
この住宅の内部(リビング)です。
この左官壁、レンガ張りも全てセルフで施工されました。
セルフですが、いい意味でとても味のある仕上がりです。
このお家から見える景色です。
東の窓からは、石狩湾がとてもキレイに見えます。
こういった景色も思い出のいっぱい詰まったセミセルフビルドの空間によって一層愛着のある景色になると思います。
どんな住宅でもノーメンテンンスでは長持ちさせることは難しいでしょう。
そして、住み慣れた家に少しずつ手を入れ、メンテナンスしながら長く付き合っていくのが理想だと言えます。
10年の単位で考えるとすれば、家族の構成も変化することだと思います。
そうすれば、空間の使い方も変わってきます。
小さなリフォームを繰り返しながら、その時に合わせた空間造りを楽しむことも住宅と長く付き合っていく方法のひとつです。
その入口としてセルフビルドのように住宅の建設に参加することはとても意味のある事だと思います。
設計においてもそういった変化に対応することのできる空間造りを心掛けています。
その結果として、愛着を感じて長く住み続けてもらえるのなら設計者としてはこれ以上に嬉しいことはありません。