Architectural design office
アポロラボ 一級建築士事務所
北海道札幌市の建築設計事務所
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南側の採光

先日、「北側の採光」の良い所について触れましたが、だからと言って「南側の採光」を否定している訳ではありません。

あくまでもその土地の置かれる環境、そしてその土地の持つ良さを最大限に考えて窓の配置を考えていきます。



例えば、この平屋の住宅です。

上の写真は建物の北側にある玄関を見ています。

この北側は道路と接しているので開口部を設置するにはあまり適していません。

道路を挟んで向い側には住宅も建っています。

そのため、道路からは閉じた印象のファサード(正面)になっています。



逆に、敷地の南側には遊歩道を挟んで海まで森が広がっています。

そして、この敷地に住宅を建てるとすれば、北側の道路とそのお向かいさんを見て過ごすよりも、この森を見て生活することで決まりです。



この写真のように、ほとんどの窓から見える景色は南側の森がメインとなります。



リビングのこの窓は西を向いていますが、それでも森が見えるように配置しています。



一日のほとんどを過ごすリビングとダイニングでは、どこにいても森が見えるように窓を配置してあります。

太陽高度の低い冬場であれば、それらの窓からは日中はほぼ一日中、陽が差し込みます。

その場合、日射から熱を得ることができるので、その熱で室内が温められ室温が上昇し、その結果、暖房負荷の軽減にもつながります。

それでは逆に、夏は暑くて困りそうですが、夏場は太陽高度が高いので軒さえしっかりと出しておけば気温の一番高くなる時間帯に直接日射が差し込むことを防ぐことができます。

この住宅でも夏場のことを考えて軒を出してあります。

南側はもちろんのこと、西側には少し長めに軒を出して西日の侵入時間ができるだけ短くなるようにしてあります。



上の写真は敷地の南側(森の方)から見ています。

写真の手前には遊歩道があり、庭には大きな広葉樹が植えられています。

夏場はこの庭の木々に葉が茂り、そのおかげで強い西日を遮ることもできます。

逆に、冬場は葉が落ちて室内に日射を獲得することができます。

こういった周辺環境と共存したパッシブな考え方も、できるだけ設計に取り入れるようにしています。



実は、この住宅で一番素敵な景色が見える場所は浴室なのです。

この写真の廊下の奥に見えるのが浴室です。

(ひとつ前の南側から見た写真の一番右にある窓が浴室の窓になります。)



この浴室と森との間には遊歩道があるのですが、ほとんど人が通らないので思い切って浴室をこの位置にもってきました。

湯船に浸かりながら森を眺め、夜には星を眺める事もできます。

もちろん、人目が気になれば窓に内蔵されているブラインドを下ろせば視線を遮ることが可能なので安心です。



この浴室内には洗面台も設置してあるので、朝は必ずこの浴室を使うことになります。

一般的に水まわりは必ずといっていいほど日陰に追いやられがちです。

しかし、一日の始まりに家の中で一番気持ちのいい場所で顔を洗うものいいものだと思います。

天気が良ければそれだけで嬉しくなります。

雨が降っていれば家の中が愛おしくなります。

朝、歯磨きしながら外を眺めてそんなことを考える時間があってもいいんじゃないかと思います。


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