アポロラボのホームページを見てよく尋ねられることがあります。
「アノニマスな建築って具体的にはどういった意味なのですか?」
そうなんです、わかりにくい表現になっています。
アノニマスは直訳すると「匿名」や「作者不明」といった意味です。
有名なハッカー集団アノニマスは「匿名」だと思いますが、アポロラボでは「作者不明」の方を取り上げています。
個人の設計事務所なのに「作者不明」とはおかしな話なのですが。
例えば、ヨーロッパの中古家具などを扱っているお店に行くとハンス・J・ウェグナーやボーエ・モーエンセンなどの有名作家の家具に混ざって値札にアノニマスと書かれている家具に出会うことがあります。
つまり、その家具は作者不明のノーブランドだという事です。
しかし、そういった家具が作者不明だからといって必ずしも安いわけではありません。
造りがしっかりしていて使い勝手もよく、椅子なんかだととても座り心地が良かったりもします。
そして、何よりも余計な主張(デザイン)がなくとてもシンプルです。
本質的な価値が認められているからこそアノニマスでも安くはないのです。
必要以上にデザインが優先され、本質が見失われた住宅では穏やかで健康な生活は送れないはずです。
住宅においては設計者が主役ではなく、そこで営まれる生活こそが主役であるべきだと思います。
作者不明の家具同様に、住みやすく、手入れしながらいつまでも住み継いでいくことのできる住宅を目指して設計を行ってます。
そういったことで「アノニマスな建築」ということになります。
あと、どうして「アポロ」なのかもよく尋ねられます。
「アポロ」は淺田の子供の頃のあだ名です。
なので、アポロラボは「淺田の建築研究所」みたいな感じです。