サッポロファクトリーの東隣りにある、旧永山武四郎邸の庭園に藤が咲いていました。
庭木に絡まって天然の藤棚になっています。
淡紫色の花が乾いた爽やかな風に揺られています。
少し白っぽい花の色をしています。
この花は天ぷらにしても美味しく食べることができるそうです。
この垂れ下がった藤の花の姿は舞妓さんの「花かんざし」に使われています。
その他にも「下がり藤」は多くの家紋に使用されています。
古くは万葉集の時代から親しまれているだけあって、とても日本的な花と言えますね。
旧永山武四郎邸です。
明治の始めに建てられた邸宅で、現在は北海道指定有形文化財に指定されています。
邸宅内は年末年始を除いて、無料で公開されています。
しかし、和と洋が見事にお互いを引き立てあっています。
この和洋折衷の造りはとても参考になります。
手入れの行き届いたお庭はとても街中にあるとは思えない心地よさです。
散歩でよく訪れますが、利用者はほとんどいません。
隣に商業施設のサッポロファクトリーがあるのでもう少し人がいてもいいと思うのですが、利用者が少ないのは本当にもったいないです。
エントランスに敷かれた札幌軟石がとてもいい雰囲気で印象的です。
軟石は火山灰が固結した凝灰岩です。
大谷石によく似ていますが、札幌軟石の方が落ち着いた灰色をしています。
札幌ではレンガと並んで古い建物によく使用されています。
札幌軟石で造られた建物は今も現役で使われているものが多く、カフェなどの飲食店やギャラリー、結婚式場などとして再利用されています。
古くから街の景色を彩ってきた建物は根が張った老木のように自然で安心感があります。
街はどんどん新しくなりますが、新しいものが必ずしも素晴らしいとは限りません。
文化の継承は、過去、現在、未来に向かい合うことから始まると思います。
今、必要な事は昨日であり明日でもあります。
目先の利益に振り回されていては遠い未来に光が射すことはないのだと。
そして、こういう歴史ある建築物は、決して建築がスクラップ&ビルドが前提であってはならないのだと、いつも強く意識させてくれます。